Public Support
保険に入る前に
「公的保障」を知ろう
病気・ケガ、働けなくなったとき、もしものとき。
日本には、国が家計を支えてくれる仕組みがあります。

Why
公的保障を知らないまま
保険に入っていませんか?
1世帯あたりの生命保険料は、年平均37.1万円。30年続けると約1,100万円にもなります。
でも、その中には国の制度ですでにカバーされている部分も少なくありません。ムダなく安心な保険の選び方は、次の3ステップです。
- 公的保障で「もらえるお金」を知る
- 貯金で対応できる分を考える
- それでも足りない分だけ、民間保険で備える
※生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
Strategy
保険で備えるのは
「めったに起きないけど
起きたら大損害」だけ
「保険で備える」「貯金で備える」の違い
- 40歳・年収500万円の会社員が亡くなると、65歳までに得るはずだった約1億2,500万円の収入が失われます。確率は約0.1%でも損失が大きいので、生命保険で備える意味があります。
- がんの治療費は、多くの人が50万〜100万円程度。100万円以上の貯金があれば、生活が破綻するほどの損失にはなりにくいのです。
→ 「なんとなく不安」で入るのではなく、損失の大きさで判断しましょう。
01 Medical
病気・ケガのとき
日本は「国民皆保険」。会社員・公務員は健康保険、自営業・フリーランスは国民健康保険に加入していて、全国どこの病院でも同じ料金で治療が受けられます。
窓口で払うのは原則3割
小学生〜69歳は3割、小学校入学前は2割、70歳以上は1〜3割。さらに多くの市町村では、子どもの医療費の助成もあります。
高額療養費制度で「月の上限」がある
1か月の医療費が高額になっても、自己負担には上限があります。2026年8月から上限額が見直され、「年間の上限」も新しくできました。
| 区分(年収の目安) | 月の上限(2026年8月〜) | 4回目以降 |
|---|---|---|
| ア:約1,160万円〜 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| イ:約770万〜1,160万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| ウ:約370万〜770万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| エ:〜約370万円 | 61,500円 | 44,400円 |
| オ:住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 |
※69歳以下の場合。「4回目以降」は、直近12か月に3回以上上限に達したときの金額。年間の上限はウ・エで53万円です。厚生労働省の資料などをもとに作成。
年収500万円の会社員が入院し、1か月の医療費が100万円かかった場合
- 窓口負担(3割):30万円
- 高額療養費の上限:85,800円+(100万円−28.6万円)×1%=92,940円
→ 実際の負担は約9.3万円。約20.7万円は戻ってきます。
マイナ保険証を使えば、窓口での支払いも上限額まででOK。※差額ベッド代・入院中の食事代・先進医療などは対象外です。
会社によっては「付加給付」でさらに安く
大企業の健康保険組合や公務員の共済組合などでは、自己負担が月2万〜2.5万円程度で済む「付加給付」がある場合も。保険者番号が「06」「31」〜「34」「72」〜「75」で始まる方は、勤め先に確認してみましょう。
働けない間は「傷病手当金」
会社員・公務員が病気やケガで連続3日休んだあと、4日目以降も働けず給与が出ないときは、給与のおよそ3分の2が通算1年6か月まで受け取れます。※国民健康保険には原則ありません。
月給30万円の会社員が、病気で2か月休んだ場合
- 1日あたり:30万円÷30日×3分の2=約6,667円
- 1か月あたり:約20万円
→ 2か月で約40万円を受け取れる目安です。
02 Disability
病気・ケガで
働けなくなったとき
障害が残り、生活や仕事が制限されるようになったら「障害年金」。手足の障害だけでなく、がんやうつ病なども対象になります。
自営業・フリーランスは「障害基礎年金」、会社員・公務員は「障害基礎年金+障害厚生年金」を受け取れます(3級は障害厚生年金のみ)。
| 年額(2026年度) | 1級 | 2級 | 3級 |
|---|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 105万9,125円 | 84万7,300円 | ー |
| 子の加算 | 第1・2子 各24万3,800円 第3子以降 各8万1,300円 | 同左 | ー |
| 障害厚生年金 | 報酬比例×1.25 | 報酬比例 | 報酬比例 (最低約63.5万円) |
| 配偶者の加給年金 | 24万3,800円 | 24万3,800円 | ー |
※厚生年金の加入期間が25年未満でも、25年(300か月)として計算されます。
受け取るための条件
- 初診日に国民年金・厚生年金に加入している
- 保険料を一定以上納めている(免除・猶予の期間もOK)
- 初診日から1年6か月たっても、一定の障害の状態にある
会社員(平均月収42万円・加入15年)、妻と子ども2人の家庭で、障害等級2級になった場合
- 障害基礎年金+子の加算:約133.5万円
- 障害厚生年金(300か月で計算):約69万円
- 配偶者の加給年金:約24.4万円
→ 年約227万円(月約18.9万円)を受け取れる目安です。
自営業・フリーランスの場合は、障害基礎年金+子の加算の年約133.5万円(月約11.1万円)です。
03 Survivors
家計を支える人が
亡くなったとき
国民年金・厚生年金に加入している人が亡くなると、生計を同じくしていた家族に「遺族年金」が支給されます。
| 種類 | 受け取れる人 | 年額(2026年度) |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のいる配偶者、または子 | 84万7,300円+子の加算 (第1・2子 各24万3,800円、第3子以降 各8万1,300円) |
| 遺族厚生年金 | 会社員・公務員だった人の遺族 | 亡くなった人の報酬比例部分の4分の3 |
※「子」は18歳になった年度の3月31日まで(障害等級1・2級の子は20歳未満)。
夫(会社員・平均月収42万円・加入15年)が亡くなり、妻と子ども2人が残された場合
- 遺族基礎年金+子の加算:約133.5万円
- 遺族厚生年金:約51.8万円
→ 年約185万円(月約15.4万円)が、下の子が18歳の年度末まで続きます。
住宅ローンの団体信用生命保険でローンがなくなる場合は、必要な保障はさらに小さくなります。「毎月の生活費 − 遺族年金 − 妻の収入」で足りない分だけを、生命保険で準備すればOKです。
2028年4月から遺族厚生年金が変わります
子どものいない配偶者が60歳未満で死別した場合、男女ともに原則5年間の有期給付になります(その分、年金額は増額され、収入要件もなくなります)。子育て中の家庭は、子どもが18歳の年度末までは今と同じ給付が続きます。2028年度に40歳以上になる女性など、今の仕組みのままの方もいます。
04 Unemployment
失業したとき
雇用保険に加入している人が失業すると「基本手当(失業手当)」がもらえます。※自営業・フリーランスは対象外です。
受け取るための条件
- 働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申し込みをしている
- 離職前の2年間に、雇用保険の加入期間が通算12か月以上ある(会社都合の場合などは1年間に6か月以上)
| ステップ | 計算のしかた |
|---|---|
| ① 賃金日額 | 退職前6か月の給与の合計 ÷ 180 |
| ② 基本手当日額 | 賃金日額 × 45〜80%(賃金や年齢で変わる) |
| ③ 受け取れる総額 | 基本手当日額 × 所定給付日数(90〜360日) |
35歳・勤続13年・退職前6か月の給与合計234万円で、自己都合で退職した場合
- 賃金日額:234万円÷180日=1.3万円
- 基本手当日額:1.3万円×50%=6,500円
→ 6,500円×120日=約78万円を受け取れる目安です。
自己都合で退職した場合、受け取れるのは申請から7日間の待期と1か月の給付制限のあと。最初の振り込みまで1か月半ほどかかるので、生活費3か月分の貯金があると安心です。
雇用保険には、ほかにもこんな給付が
- 教育訓練給付金:資格やスキルアップの講座費用の一部が戻ってくる
- 育児休業給付金:育休中の収入を支える(07 出産・育児で紹介)
- 再就職手当:早く再就職すると、残りの手当の一部を受け取れる
05 Retirement
老後の生活
公的年金は、亡くなるまで一生受け取れる「終身年金」。物価や賃金に合わせて金額も見直されます。
| 種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 国民年金 (老齢基礎年金) | 満額で年84万7,300円(月約7.1万円) ※20〜60歳の40年間、保険料を納めた場合 |
| 厚生年金 (老齢厚生年金) | 平均年収 × 加入年数 × 0.005481 |
夫:会社員(平均年収500万円・加入38年)、妻:専業主婦の夫婦の場合
- 夫の厚生年金:500万円×38年×0.005481=年約104万円(月約8.7万円)
- 夫の国民年金:月約7.1万円
- 妻の国民年金:月約7.1万円
→ 夫婦で月約22.8万円を受け取れる目安です。
受け取り始める年齢は60〜75歳で選べます
65歳より早く受け取る(繰上げ)と1か月あたり0.4%減り、遅らせる(繰下げ)と1か月あたり0.7%増えます。たとえば70歳まで遅らせると、年金額は42%アップ。何歳から受け取るかに正解はないので、働き方や貯蓄と合わせて考えましょう。
年金を受け取るには、保険料を納めた期間(免除の期間なども含む)が10年以上必要です。保険料は全額が社会保険料控除になり、受け取るときにも税金の優遇があります。
06 Nursing Care
介護が必要になったとき
40歳から介護保険料を納め、介護が必要になったら(65歳以上、または40〜64歳で特定の病気の場合)、介護サービスを原則1割の負担で利用できます(所得に応じて2〜3割)。
要介護3の親が、在宅で月27万円分の介護サービスを利用した場合
- サービスの費用:月27万円
- 自己負担(1割):月約2.7万円
→ さらに「高額介護サービス費」で、一般的な所得の世帯は月44,400円が上限です。
介護の費用は「500万円ほど」が目安
介護にかかった費用は、住宅の改修などの一時費用が平均約47万円、月々の費用が平均約9万円、介護の期間は平均約4年7か月という調査があります(生命保険文化センター)。公的な介護保険があるので、民間の介護保険に入るより、貯蓄や資産運用で500万円ほどを準備しておくのがおすすめです。
07 Birth
出産・育児のとき
| 制度 | 対象 | もらえるお金 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 健康保険の加入者 (扶養されている家族もOK) | 子ども1人につき50万円 |
| 出産手当金 | 会社員・公務員本人 | 産前42日〜産後56日、給与の約3分の2 |
| 育児休業給付金 | 雇用保険の加入者 | 育休開始から180日は給与の67%、その後は50% |
| 出生後休業支援給付金 | 両親ともに14日以上育休を取った場合 | 最大28日間、給与の13%を上乗せ |
育休中は社会保険料が免除され、給付金に税金もかかりません。67%+13%=80%の給付で、手取りはほぼ10割になります。
月給30万円のママが、1年間育休を取った場合
- はじめの6か月:月約20万円(67%)
- 7か月目以降:月約15万円(50%)
→ 1年で約210万円を受け取れる目安です。
社会保険料の免除もあるので、手取りの減り方はゆるやかです。
Check
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