11月になると、会社から「年末調整の書類を出してください」と案内が来ますよね。毎年なんとなく書いて出している方も多いのではないでしょうか。
年末調整は、1年間に払いすぎた所得税を取り戻すチャンスです。書き忘れると、本当は戻ってくるはずのお金が戻ってきません。出し忘れやすい控除と、書き忘れるといくら損するのかを具体例でまとめました。最新(2026年分)の変更点もあわせて紹介します。
年末調整で出す主な書類
| 書類 | 書くこと |
|---|---|
| 扶養控除等申告書 | 扶養している家族 |
| 基礎控除・配偶者控除等の申告書 | 本人と配偶者の年収、大学生の子の年収など |
| 保険料控除申告書 | 生命保険・地震保険・iDeCo・国民年金など |
| 住宅ローン控除の申告書 | 住宅ローンの残高(2年目以降) |
2026年分で知っておきたい変更点
年収の壁が引き上げられています
2026年分は、所得税がかかり始める年収が178万円に引き上げられました(所得が一定以下の人の場合。2025年分は160万円)。配偶者控除を受けられる配偶者の年収の目安も、136万円に上がっています(2025年分は123万円)。くわしくは年収の壁の記事をご覧ください。
大学生の子どもがアルバイトをしていても控除が受けやすく
19〜22歳の子どもを扶養に入れられる年収の目安が136万円になりました(2025年分は123万円)。さらに、136万円を超えても197万円までは段階的に控除が受けられる「特定親族特別控除」があります。大学生のお子さんがいる方は、アルバイトの年収を確認して書きましょう。
23歳未満の子どもがいると、生命保険料控除が増える
2026年分に限り、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられます。
※制度の詳細は、国税庁の案内や会社からの説明をご確認ください。
そもそも「控除」は年末調整で何をしているの?
ここでいう「控除」とは、税金を計算するときに、所得から差し引いてもらえる金額のことです。控除が増えるほど「税金がかかる金額」が小さくなり、所得税と住民税が安くなります。(控除の基本は控除の記事でくわしく解説しています)
年末調整では、次のような流れで税金が計算し直されます。
- 会社は毎月のお給料から、所得税をざっくり見込みで天引きしている
- 年末調整で、みなさんが出した申告書をもとに1年分の正しい税金を計算し直す
- 払いすぎていた分が、12月(または1月)のお給料で戻ってくる
ここで大切なのは、会社は申告書に書かれていないことを知らないということです。iDeCoを払っていても、保険に入っていても、書かなければ「控除なし」として計算されます。つまり、控除は「自分から申告した人だけ」が受けられる割引のようなものなんです。
さらに、年末調整の結果は住民税にも引き継がれます。書き忘れると、所得税だけでなく翌年6月からの住民税も高くなるので、ダブルで損をしてしまいます。
出し忘れやすい控除
① iDeCoの掛金
iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。給与から天引きされていない「個人払い」の方は、自分で申告しないと控除されません。10月ごろに届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付しましょう。
② 家族の国民年金保険料
大学生の子どもの国民年金保険料を親が払っている場合、親の社会保険料控除にできます。払込証明書を保険料控除申告書に書きましょう。
③ 地震保険料
火災保険に地震保険をつけている場合、地震保険料は最大5万円まで控除できます。生命保険と一緒に書き忘れやすいので、保険会社からのハガキを確認しましょう。
④ 住宅ローン控除(2年目以降)
住宅ローン控除は、1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整でOKです。税務署から届く申告書と、銀行の残高証明書を出しましょう。
出し忘れると、いくら損する?
では実際に、書き忘れるとどのくらい損をするのでしょうか。所得税10%・住民税10%の会社員(年収400〜600万円くらいの方に多い税率です)を例に、1年分で計算してみました。
| 書き忘れた控除 | 1年間に払った金額(例) | 損する金額(1年分) |
|---|---|---|
| iDeCo(個人払い) | 月2万円×12か月=24万円 | 約4.8万円 |
| 子どもの国民年金 | 月約1.75万円×12か月=約21万円 | 約4.2万円 |
| 生命保険料 | 年10万円 | 約6,800円 |
| 地震保険料 | 年2万円 | 約3,000円 |
| 住宅ローン控除(2年目以降) | 年末のローン残高3,000万円 | 最大21万円 |
iDeCoと国民年金は「払った額の約2割」が戻る
iDeCoに月2万円を積み立てている会社員の場合
- 1年間の掛金:24万円
- 所得税:24万円×10%=2.4万円
- 住民税:24万円×10%=2.4万円
→ 書き忘れると、合わせて約4.8万円が戻ってきません。
大学生の子どもの国民年金を親が払っている場合も同じです。1年分で約21万円を払っていれば、約4.2万円税金が安くなります。在学中の4年間で考えると、約17万円の差になります。
保険料は控除に上限があるので、金額は小さめ
生命保険料や地震保険料は、控除できる金額に上限があります。たとえば生命保険料(新しい契約)は、年8万円を超えると所得税で4万円、住民税で2.8万円が上限です。そのため損する金額は数千円ですが、ハガキを1枚書き写すだけで戻ってくるお金なので、もったいないですよね。
住宅ローン控除は、税金から「直接」引かれる
住宅ローン控除は、ほかの控除とはしくみが違います。所得から引くのではなく、税金そのものから直接引かれる(税額控除)ので、効果がとても大きいんです。年末の残高が3,000万円なら、0.7%の最大21万円。2年目以降の書類を出し忘れると、この金額がまるごと戻ってきません。
※損する金額は、所得税10%・住民税10%で計算した目安です(復興特別所得税は含めていません)。税率や加入している制度、住宅の種類によって変わります。住宅ローン控除は、所得税から引ききれない分は住民税から差し引かれます(上限あり)。
出し忘れても、確定申告で取り戻せます
もし年末調整で書き忘れても、あきらめなくて大丈夫です。翌年に確定申告(還付申告)をすれば、5年前の分までさかのぼって取り戻すことができます。「去年、書き忘れていたかも…」という方は、源泉徴収票を見直してみてください。(年末調整と確定申告の違いもあわせてどうぞ)
年末調整ではできないこと
次のものは年末調整ではできないので、確定申告が必要です。
- 医療費控除(くわしくは医療費控除の記事)
- ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合や、寄付先が6か所以上の場合)
- 住宅ローン控除の1年目
ふるさと納税については、ふるさと納税の記事でくわしくまとめています。
まとめ
- 年末調整は、払いすぎた税金を取り戻すチャンス
- 2026年分は年収の壁の引き上げや、生命保険料控除の上乗せがある
- 控除は「申告した人だけ」が受けられる。書かないと会社は控除なしで計算する
- iDeCo(個人払い)、家族の国民年金、地震保険は書き忘れに注意(iDeCo月2万円なら年約4.8万円の差)
- 書き忘れても、確定申告で5年前までさかのぼって取り戻せる
- 医療費控除やふるさと納税(6か所以上)は確定申告で
年末調整が終わったら、12月の給与明細で戻ってきた金額をチェックしてみてください。給与明細の見方は給与明細の記事をご覧ください。
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